柏谷メソッドについて

柏谷メソッドとは

弁護士、検事、裁判官(法律実務家・法曹実務家)になるためには、司法試験に合格して、司法研修所で一年間の司法修習を経る必要があります。
司法試験を受験するためには、予備試験に合格するか、または法科大学院(ロースクール)の課程を修了することで受験資格を得ることが必要です。

つまり、司法試験も予備試験も実務家登用試験であるということになります。そして、実務家の職務は事件処理です。
したがって、司法試験や予備試験では、事件処理能力が求められることになります。

実務家が処理する事件には、教科書などには書かれていない未知の問題が含まれています。そのため、事件処理能力とは未知の問題を解決する能力ということができます。

司法試験や予備試験では、受験生が学んでいない知識、忘れてしまっている知識、曖昧になってしまっている知識が出題されます。つまり、受験生にとって未知の問題が出題されるということです。暗記で合格できる試験ではないということです。

私は、事件処理能力は、➀基本的知識(受験生が本試験時に思い出せる既知の知識)、②法的思考能力(リーガルマインド)、③起案力(法的文章作成能力)で構成されると考えています。

法的思考能力とは一般的には法的知識の体系的な理解を意味します。私は、法的知識の体系的な理解とは、基本的知識の修得のことを意味すると考えています。そして、法的思考能力とは、未知の問題を既知の知識から法的に思考して解く力のことであり、法的文章の読解力のことであると考えています。より抽象的にいえば、空気を読む力です。

一般的な予備校では、過去問を含む大量の法的知識を提供し、未知の問題をなくしていくという勉強法を採用しています。論文対策として論述例を丸暗記させることから、論証パターン学習と呼ばれています。この方法論で合格されている合格者は多くいらっしゃいます。しかし、この方法論では、法的文章の読解力を身につけることができる受験生は、もともと読解力の才能のあった受験生に限られると私は考えています。つまり、程度の差こそあれ、(法的文章を読むための)読解力を有している受験生が、法的知識を伝達されることで、法的文章の読解力を身につけることができ、合格を果たせるというのが、論証パターン学習だと考えています。これは法科大学院における教育(ロースクール教育)でも同様です。提供しているのが論証ではなく学問的見地からの法的知識という違いしかありません。
いずれにせよ、受け手の受験生の側に読解力という才能があることが前提となっています(才能依存)。

受験生は暗記学習の中で法的な思考を身につけて合格しているのであって、暗記で合格しているわけではないともいえます。現に試験に合格し、実務で活躍されている弁護士、検事、裁判官(法律実務家・法曹実務家)たちは、未知の問題を法的に思考して解決するという事件処理を日々当たり前のように行っています。暗記で受かったという合格者の方から話を聞いてみると、本試験時に思い出せる知識(既知の知識)から、法的に思考して問題を解いています。短期合格者は、論証パターンの暗記の中で、法的思考が当然に身につくため、これらが別のものだという意識がないのだと思います。
一般的な予備校や法科大学院では、講義はポイントを解説するものです。勉学の中心は自分で教科書、条文、判例を読み、過去問を解くという自学自習となります。そのため、自習室の存在が重要になってきます。法科大学院ではキャレルと呼ばれる専用の自習スペースやロッカーを学生に提供しているところが多く、大手予備校でも自習スペースを確保しています。自学自習によって、受験生が自ら法的文章を読解できるようにならなければ合格できないのです。
言葉を換えれば、法的文章を読むための才能がある受験生だけしか合格できない勉強法ということになります。

私は机にかじりついて自習したり、暗記することが苦手です。なので、学生時代は、自習室を使ったことはなく、論証パターンを暗記するような勉強はしてきませんでした。

私がやっていたのは、自宅の四畳半の部屋で寝転がって、条文やレジュメを見ながら、カセットテープに録音した良質な講義を繰り返し聴くという学修です。良質な講義では、条文や判例をしっかり読み上げてくれたので、それらを聴きながら、条文やレジュメに掲載されている判例を一緒に読みました。私は人に学んだことを教えるのが好きだったので、学生時代から講師・教師になりたいと考えており、教員免許も取得しました。そのこともあって、良質な講義を自分でも再現したいと思い、聴くのに慣れてきたあたりで講師の先生が話す内容を後追いで口に出して復唱するようにしました。講師は条文も判例も呼んでくれるので、条文も判例も口に出して読んでいました。外国語学習で用いられる「シャドーイング」です。気がつけば、レジュメを見ながら講義が再現できるようになっていました。また、問題を解く際に、その講師の先生ならどのように問題を解くかをイメージしながら解くと正答率も上がっていました。

柏谷メソッドは、そのような私の学修経験を皆さまにご提供するものです。

一般的な予備校ではポイントのみを講義します。これに対して、柏谷メソッドでは必要な内容をすべて講義します。合格に必要な法的知識はすべて講義の中で解説します。教科書、条文、判例、過去問の問題文、論述例もすべて講義の中で読み上げる内容となっています。柏谷メソッドでは自習は不要です。すべて講義で完結します。自習室で机に向かって勉強する必要はなく、家で寝転がってスマホで動画を視聴することで学修を行うこともできます。レジュメは画面に表示されているので、六法があれば、大丈夫です。

また、応用インプット講義を繰り返し視聴することで、法的思考(法的文章の読解力)が身につくように工夫しています。法的文章の代表である条文、判例、過去問などを講義の中で読み上げておりますので、講義を繰り返し視聴することで、法的文章に慣れることができ、法的思考が身につくようになっております。また、法的文章の読解力の基礎となる基本的知識も、講義を繰り返すことで事前と理解と記憶ができるようになっております。1周目よりも2周目、2周目よりも3周目の方がより理解が進み、その中で基本的知識は自然と記憶できます。応用インプット講義は法科大学院で学ぶような高度な議論もしておりますが、40%程度を理解し、ある程度記憶できていれば、基本的知識(既知の知識)の修得としては十分です。40%程度というのは、半分もマスターする必要はないという意味です。高度な議論は40%程度をマスターするため、あるいは法的思考を身につけるためのものだと思っていただくとよいかと思います。私自身も講義終了後は全体の40%程度しか押さえておりません。

視聴に慣れてくれば、講義動画の視聴時に、講師の話す内容を後追いで口に出して復唱しながら視聴する「シャドーイング視聴」も有益です。

また、そのうち音声だけで内容を把握できるようになりますので、散歩しながら、音声を聴くという学修もできます。

過去の合格者の方の中には、自室で講義を繰り返し視聴した方、ファミレスでスマホ視聴した方、散歩しながら音声を聴いていた方など様々な方がいらっしゃいます。また、受験時代から他の受験生に私の講義を再現して教えることで、知識を定着させ、理解を深めた方もいらっしゃいますし、合格後に母校の法科大学院で私の講義を再現して講義をされた方もいらっしゃいます。

柏谷メソッドでは、暗記は不要です。大事な内容は自然と繰り返しインプットすることで記憶に定着します。一般的な予備校では暗記はできる前提であり、知識で問題を解く前提です。これに対して、柏谷メソッドでは、暗記できない前提、理解と思考で解く前提です。
知識を暗記できていない、忘れている、曖昧になっている、という受験生を前提としているのです。その上で、問題文を読解して問題を解いていけるようになることを目指しています。法的な文章の読解力(法的思考能力)は応用インプット講義を繰り返し視聴するだけで身につくようになっています。

また、講義で理解できなかった点があったとしても、直接質問することで解消することができます。

柏谷メソッドでは、過去問も講義で解説しています。

短答式過去問は、短答式の解き方解説や短答ゼミで解説しています。そこでは、知識を暗記できない、忘れてしまう、曖昧になってしまうということを前提に問題を解く方法を解説しています。一般的な予備校のように知識だけで解くのではありません。過去問集を繰り返し解いて結果がでる受験生は知らない前提で解くための演習を行っています。つまり、問題演習メインです。他方、結果がでない受験生は知識を暗記するために演習を行っています。つまり、解説メインです。本講座では演習メインで解説を行っています。

論文式過去問は、論文過去問解説講義と論文添削講義で解説しています。2010年から大量の合格答案と不合格答案を見て行き着いたのが、➀「問題文をどう読むか」、②「答案をどう書くか」です。

一般的な予備校や法科大学院の解説講義は論点解説がメインです。しかし、本講座では、暗記できない、忘れてしまう、曖昧になってしまうということを前提に、今ある知識で問題を読解して解く方法を解説します。また、一般的な予備校では答案練習(論文模試)は、暗記した論証を吐き出す練習であり、論証が正確に示せているかを評価しています。しかし、本講座では、相対評価の中で合格できるだけの論述がなされているかを評価しています。現実の受験生は、完璧に論証を答案に示せるわけではありません。論証パターン学習をしている受験生でも実際は本試験時にほとんどの論証を忘れている状態です。そうなると、他の受験生との比較の中で、問題文から問われていることを読解し、基本的知識と矛盾しない論理的な答案を作成できるか、が重要になってきます。答案添削講義ではそのようなことを意識して添削を行っています。私は複数回受験生の論文指導を専門に行ってきた講師ですので、論文指導には定評があります。論証パターンを(理解・)暗記すれば合格できるといった才能のある受験生を対象とした大手予備校の指導とは異なる実践的な添削を行います。答案添削の様子は動画で収録しますので、一般的な予備校のコメントのみの添削と比較して、情報量は桁違いに多いです。さらに、講座で一緒に学修しているライバルの受験生の答案添削(もちろん匿名です)も閲覧できますので、膨大な量の答案モデルに触れることができ、どのような答案が評価されるか、されないかが分かります。

高校までの勉強の影響からか理解よりも暗記の方が楽、勉強は楽しむものではなく努力するものだという想いをお持ちの受験生の方が合格者を含め多くいらっしゃいます。

 しかし、司法試験、予備試験では暗記の量が膨大になるため、能力的にも時間的にも理解して思考によって解く方が楽なのは明らかです。

 また、努力して嫌々勉強するのではなく、好きで楽しんで学修した方が、知識の修得がしやすいのは明らかです。過去の合格者の方の中には、没頭して講義を視聴していて時間が経つのも忘れてしまったという方もいらっしゃいます。いわゆるゾーンに入った状態です。

 私自身の経験から、苦学ではなく、楽学こそが合格への近道であると考えています。

司法試験、予備試験は長期戦の難関国家試験です。最初は講義が理解できず、モチベーションが低下することもあります。

本講座では、私が直接、質問・相談に対応し、学修管理を行っています。受講中いつでも直接質問でき、オンラインの個別面談を受けることができます。また、日々の学修記録をつけていただくことで、モチベーションを維持することもできます。

一般的な予備校は規模が大きいため、どうしても講師と受講生との距離が遠くなります。しかし、本講座は私が少人数個別指導が可能な規模を想定して作った二人三脚の講座です。質問も面談も気軽に行うことができます。