法務省ホームページ内の「司法試験及び司法試験予備試験のデジタル化について」のページにおいて、「CBT方式の導入に関するQ&A」に11月28日付で更新が入りました。
本更新では、主に2026年2月10日(火)、11日(水/祝)に実施のCBT方式プレテストについての概要・予約方法が主な内容となっております。
本ページでは、予備試験受験生Aさん(仮名)に、当該Q&Aの更新内容についての感想をいただきましたので、以下に公開させていただきます。
※これまでのCBT方式に関する発表の更新内容や、CBTシステム体験版の使用に関する受験生Aさんの感想につきましては、以下の記事をご確認ください。
法務省「CBT方式の導入に関するQ&A:11月28日更新分」の受験生Aさんの感想
2025年11月28日に司法試験のCBT方式に関して、法務省から新たな情報が発信されました。
メインとなるのは、2月に実施予定のプレテストに関するものとなっています。
今回新たに追加された内容について、1つ1つ感想や問題について述べていきたいと思います。
1.プレテストの実施について
プレテストは2月10日と2月11日の2日間にわたって実施される予定となっており、12月の中旬ごろに応募をすることが可能となっています。
実施時間は70分で論文と短答ともに公法系から出題され、論文が50分、休憩5分を挟んで、短答が15分となっています。
時間については本気で問題に取り組むものではないため、CBT方式の操作感を把握する上では十分なものといえるでしょう。
問題なのは、予約が会場や時間枠ごとの先着順となっている点です。
これは応募をしても、もしかするとプレテストを体験することができない可能性があるということです。
また、実施期間中が学生は春休み中なので問題ありませんが、社会人受験生にとっては、時間を捻出するのが難しいため、祝日となっている2月11日をどうしても抑えたいという方もいらっしゃるでしょう。
もっとも、祝日に受験する機会を得られない可能性もあるため、とりあえず2月10日と両方を応募しようと考えた方もいらっしゃるかと思います。
しかし、予約と受験は1人1回に限定されており、両方を予約することはできないと読める内容となっています。
また、どこの都市で開催される予定なのかが記載されていない点も気になります。
おそらく現在司法試験が実施されている都市については、プレテストの対象となっていると考えられますが、東京大阪以外の方については受験生の人口が明らかに減ってしまうため、不安に思われている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
さらに東北地方であっても、青森や秋田から仙台まで向かうのは時間もコストもかかってしまいます。中国地方の岡山や広島から大阪についても同様のことがいえるでしょう。
他にも受験特別措置については今回のプレテストでは実施されないとされています。
おそらくこれは、CBT方式移行後の特別措置についてどうする予定なのかを、まだ決めることができていないからなのではないかと推測しています。
今回のプレテストも受験生にとっては非常に重要な機会ではありますが、体験アプリを使用することで、ある程度の操作感については把握することができます。
他方で特別措置を必要とする受験生にとって、今後どのような措置が取られるのかがわからない点は、非常に大きな不安となるのではないかと思います。
CBT方式の会場については米国公認会計士試験やTOEFLなどを実施している、プロメトリック株式会社が委託先として選ばれたようです。
どのような会場となっているのかについては、公式ホームページを見ることで確認することが可能となっています。
【プロメトリック株式会社様:試験会場一覧:名古屋駅前会場詳細ページ】
https://www.prometric-jp.com/examinee/hall/archives/104
引用しているURLは名古屋の会場となっていますが、画像を見る限り机のスペースが非常に狭いものとなっています。
また、普段ノートパソコンしか使わないという方は、デスクトップパソコンのキーボードは打鍵感が異なるため、本番で時間のロスとなってしまう可能性があるため、安価なものでも良いので、あらかじめ購入して練習をしておいた方が良いでしょう。
購入の際には打鍵のストロークが浅いものだと、ノートパソコンとそこまで環境が変わらないため、しっかりとキーが沈み込むものを選択すると良いでしょう。
おすすめのキーボードについてもリンクを添付しておきます。
※以下株式会社Buffalo様の商品紹介ページ
https://www.buffalo.jp/product/detail/bskbu105bk.html
<2025.12.07追記>
12月5日にCBT方式の試験を実施予定の、プロメトリック株式会社様から、プレテストに関する新しい情報が公開されました。
上記の情報を踏まえて、受験生の目線で新たな発表について感想を述べていきます。
1.全国で実施予定
来年度の司法試験は全国各地で受験をすることができると事前に発表されていました。
それに合わせて、47都道府県のほぼすべてでプレテストが実施されることがわかりました。
これは地方に住んでいる受験生にとっては、非常にありがたい制度といえます。
47都道府県のほとんどというのは、四国地方に関しては高知県でのプレテストが実施されないためです。
本番でも高知県で受験することができるか否かについては、今後注目すべき点かと思います。
また、東京都が立川市や町田市などのかなり広範な地域で受験ができるのに対し、北海道に関しては札幌3会場と苫小牧市1会場と偏っている点も少し気になりました。
もっとも、北海道の受験生はほとんど北大のロースクールに通っていることが考えられるため、この点については問題がないかもしれません。
東京、神奈川、埼玉、千葉、愛知、大阪、山口では複数の会場が想定されていますが、おそらく1つの会場につきキャパシティがそこまで大きくないのではないかというのも考えられます。
東京都に関しては非常に多様な受験会場がありますが、本番ではどのように割り振られるのかという点も気になる点ではあります。
これまでの司法試験や予備試験では、会場についてはランダムに設定されていたため、事前のホテルの予約等が大変な方もいらっしゃいました。
しかしながら、これだけの数の会場があるということで、受験申込者の居住地に近い会場が設定されれば、受験前の余計な準備に気を取られずに済むため、この点も受験生にとっては利害関係のある話かと思います。
2.プレテストの実施時刻
プレテストは1日4回に分けて実施することがわかりました。
もっとも、最後の時刻が正午過ぎに終わることが判明しています。
プレテスト実施の2月あたりに関しては、学生は春休みに入っているため、特に問題はありませんが、社会人受験生に関しては、2月10日の平日に予約をする場合には、仕事との兼ね合いでスケジュールを組まなければならない点に注意しなければなりません。
東京や大阪などの人口の多い場所については、申込数が多い場合には、1日の実施回数が増える可能性がまだあるかもしれないので、実際に申し込みが開始してからの動向に注目となります。
3.当日の持ち物について
新たな発表では、当日に以下のいずれかを持参するように指示がありました。
運転免許証、パスポート、マイナンバーカード、在留カード、特別永住者証明書、運転経歴証明書
おそらくこれは、代わりに申し込むと行為を事前に防止する目的があると考えられます。
不正な手段での申し込みを防止したいという目的であれば、もう少し実施の枠を増やしても良いのではないかと思います。
また、当日は六法が配布されないため、六法については持参するように指示がなされています。
すでに論文式の受験経験がある方に関しては、来年度も同じものが配布される可能性があるため、より本番と同じ形式で受験するために、そちらを持参されることをおすすめします。
本番で配布される六法を持っていない方であっても、画面を見ながら六法を参照するという本質的な部分は変わらないため、普段使用している六法を使用して、受験することをおすすめします。
もっとも、プレテストでは憲法が想定されているため、他の科目に比べるとそこまで多くの条文引用を求められないため、他の科目で通用するかどうかについては、再考の余地があるかと思います。
2.オンライン出願について
来年度の試験からオンライン出願が可能となりました。
この点については特に問題点はないかと考えております。詳細については来年の1月ごろに発表される予定となっています。
個人的にオンライン出願が良いと感じた点は、受験票や成績通知書がオンラインシステムを通じて発行される点にあります。
これにより紙媒体での出願よりも、成績の交付時期が早まる可能性が示唆されています。
ただし、合否の結果については、今までのように自身の受験番号を探すシステムではなく、マイページのようなものが作成されて、そこで一発で表示される仕組みとなる可能性があるため、ここは人によっては苦手と感じる方もいらっしゃるかもしれません。
受験票がオンライン上で紙媒体より早く取得することができるのは、地方の受験生にとっては非常にありがたいことかと思います。
直前に宿泊先の予約をする受験生は聞いたことがありませんが、早めに会場がわかることによって、当日の動きを早期に組み立てることができるのは、実戦を意識する上では非常に重要なこととなるからです。
特に遠くから受験に来ている方であれば、なおさら土地勘のない場所で試験に挑むこととなるため、これはありがたいシステムだと思います。
まとめ
プレテストについては、受験生は確実に応募をした方が良いでしょう。
本番と同じ環境で試験問題を解く経験をすることができるのは、現状このプレテストだけとなっています。
また、そこでアンケートも実施されるかと思われます。
現状、問題文の紙媒体での配布や、試験用法文の紙媒体での配布が来年度の司法試験論文式のみでの決定など、多くの問題点を抱えている状態です。
試験委員がCBTの方式に合わせて、これまでの試験の傾向を変更してくれるとも考えられないため、やはり受験生側から声を上げる他ありません。
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※司法試験に関する情報は変更される可能性があります。法務省等のサイトで必ずご自身でご確認ください。参考:https://www.moj.go.jp/barexam.html


