司法試験合格を目指す社会人は多い
柏谷メソッドには、社会人の司法試験受験に関するご相談が非常に多く寄せられています。この記事を読んでいただいている方も、きっと社会人の方が多いことでしょう。社会人で司法試験合格を目指す動機は様々ですが、これまでの面談結果からすると概ね以下のような動機に分かれるのではないかと思います。
過去に司法試験への挑戦を見送った方
経済的な理由で法科大学院への進学を諦めた方や、新卒のプラチナチケットを優先して民間企業への就職を優先された方などが該当します。
過去に司法試験に挑戦して諦めた方
司法試験に挑戦して不合格になり、受験回数の制限を超えて失権するなどして司法試験受験を諦めた方が該当します。現行の司法試験だけでなく、旧司法試験を含みます。また、諸事情で法科大学院を退学された方も含まれます。
キャリアアップを志している方
企業の法務部門で働かれている方、法律事務所でパラリーガルとして働かれている方、医師や士業など別の専門職として働かれている方、年収アップを目指すサラリーマンの方などが該当します。
社会人の司法試験受験で気を付けるべきこと
キャリアの断絶に注意
司法試験受験には年齢やキャリアの制限がないため、社会人の方も挑戦することができます。しかし、社会人の方が挑戦するにあたり気を付けるべきことがあります。それは、仕事を退職して法科大学院に進学したものの、結果的に司法試験に不合格になった場合に、積み重ねてきたキャリアが断絶してしまうリスクです。
ご存知の通り、司法試験受験の原則ルートは法科大学院に進学し、2~3年の修業年限を経て修了し、司法試験の受験資格を得るルートです。法科大学院には日中に通う昼間コースの他に夜間コースが設置されている場合がありますが、夜間コースを設置している法科大学院の数や立地が限られているため、全ての人にとっての選択肢にはなりません。ですので、ここでは仕事を退職して法科大学院の昼間コースに通い、残念ながら司法試験に不合格になってしまった場合を念頭に置きます。
キャリアの断絶により何が起きるのか
再就職が難しくなる
履歴書や職務経歴書上、職歴に少なくとも2~3年のブランクが発生します。もちろん、司法試験に挑戦するために法科大学院に通っていたという背景があるので、いわゆる空白期間ではないわけですが、それでもビジネスの分野において2~3年のブランクはネガティブに捉えられることでしょう。
書類や面接からは過去の経験が今も現役で活かせるのか判断しにくい、法律は実務経験がないので即戦力にならない、と企業は考えます。企業は迷いがあれば採用を控えるため再就職が難しくなるのです。
仮に過去のキャリアが大変素晴らしく、2~3年のブランクにも関わらず絶対的なマイナス評価を受けることがなくても、売り手市場の昨今ですから、より若い現役のビジネスマンと競合した場合には、比較されて相対的に見劣りする可能性もあるでしょう。
再就職時に年収が下がる
なんとか再就職ができたとしても、年収は下がってしまうでしょう。厚生労働省発表の「平成30年雇用動向調査結果の概況」によれば、転職後の賃金が前職の賃金に比べ「増加」した割合は37.0%、「減少」した割合は 34.2%、「変わらない」の割合は 27.2%となっています。
ただでさえ転職者の34.2%は年収が下がる構造である上に、2~3年のブランクを経て過去の経験が今も現役で活かせるのか判断しにくい状態ですから、採用になるとしても企業はリスクヘッジのために年収を低めに提示するでしょう。もちろん、実力を発揮できれば短期で上がることもあり得るでしょうが、入り口で年収が下がることはなかなか避けられないものと思われます。
社会人は予備試験ルートを
ご家族がいらっしゃる方はもとより、独身の方であってもこのような大きなリスクを取るべきではありません。そこで、柏谷メソッドでは社会人の方には予備試験ルートで司法試験に挑戦されることを強くお勧めしています。
予備試験ルートには以下のようなメリットがあります。
- 仕事を辞めずに司法試験の受験資格が得られるのでキャリアが断絶しない
- 企業内弁護士を目指すのであれば職歴が綺麗な方が有利
- 法科大学院2~3年分の学費がかからない
- 法科大学院出身者よりも予備試験合格者の方が司法試験合格率が高い
柏谷メソッドでは、あなたの社会人生活や家庭生活を前提に、何年かけて、1年1年どのように学修を進めていくべきか、学修相談に乗ることができます。社会人生活や家庭生活と予備試験・司法試験合格を両立するために、ぜひお気軽にご相談ください。
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※司法試験に関する情報は変更される可能性があります。法務省等のサイトで必ずご自身でご確認ください。参考:https://www.moj.go.jp/barexam.html